【生徒作成記事】宇宙でお米はつくれるのか⁉︎ 模擬月面米栽培に挑戦〜東京キャンパス編〜

東京キャンパスの模擬月面米栽培プロジェクトリーダー野尻悠斗さん(後列左から2人目)、上条晄佑さん(後列左から3人目)とSPARK制作チームの澤田結衣さん(前列左)、根岸廉弥さん(前列右)、日向翔瑚さん(後列左)、石橋晴也さん(後列右)

人類は近い将来、NASAが主導するアルテミス計画によって地球を飛び出し、宇宙に移住します。その最初の移住先と考えられているのが、月。月で恒久的に暮らすためには食料の確保が必要です。さらに、多様な食料があると暮らす人のモチベーションも上がりますし、日本人としては主食であるお米も食べたい。そうした未来に向け、月の表面を覆っているレゴリスという粒子の細かい砂と似た「東北珪砂」を使って、2024年、クラーク記念国際高等学校の全国36キャンパスの生徒たちが模擬月面米栽培に挑戦しました。肥料や栽培方法は各キャンパスで工夫し、栽培データを集めて2月のクラークプレゼンテーショングランプリでポスター発表。この挑戦に参加した全国のキャンパスのうち、東京キャンパスのリーダーを務めた野尻悠斗さんと上条晄佑さんに、クラーク宇宙探究部国際広報誌SPARK制作チームの生徒たちがインタビューしました。

−−模擬月面米栽培で工夫したところを教えてください。
上条 今回のプロジェクトには1年生から3年生まで約20人のメンバーが参加し、学年ごとに違う栽培法を試しました。リーダーが野尻で、僕はサブリーダーとして野尻をバックアップ。仲間とコミュニケーションをとりながら米栽培に重要な水の分量や水やり当番を決め、エクセルで毎日の成長を記録しました。

野尻 特に1年生は、最初はガチガチに緊張していたので、リーダーとして意見を出しやすいように努力しました。議論していても誰か一人が発言するとまわりが賛同してほかの意見が出なくなり、それで終わってしまう。そうした場面で、メンバー一人ひとりに発言をうながし、議論を円滑化しようとしました。

食品加工しやすい大豆を栽培!

−−栽培で大変だったことは?
野尻 お米は水の管理がとても大事で、常に水を張った状態にしないといけません。でも、今回は東北珪砂を使ってバケツで栽培したのでとても難しかったです。バケツを移動させることで地割れが起きてしまい、稲が枯れてしまいました。
上条 米はできたんですけど、収穫量が少なく、粒も小さかった。中身も黒く変色していて、今回は食べられる状態にはなりませんでした。

野尻 米栽培には失敗しましたが、大豆であれば米のように常に水を張っている必要もなくて育てやすいし、大豆ミートなどほかの食品に加工しやすくて月での生活にも役立つだろうと考え、現在は模擬月面大豆栽培に挑戦しています。大豆は成長が早く、順調に実っています。


プロジェクトを通して学んだこと

−−この経験を将来どう活かしていきますか?
上条 今回、植物の気持ちになって考えることを大切にしました。たとえば、水が足りないからただ足すのではなく、どうすればもっと元気良くなるのか。植物も生き物であって、生き物を扱ううえでは対象をよく観察して考えることが必要です。僕は将来、愛玩動物看護師として動物の医療の現場で頑張りたいと思っています。そこでも患者である動物をよく見て、飼い主さんの話をよく聞くというコミュニケーションがとても重要になってくるので、今回、言葉を話せない植物と向き合い、グループのメンバーたちと話し合いを重ねた経験は必ず役に立つと思います。
野尻 グループワークにおける議論の円滑化というのがやはり大きな学びでした。大学生になると研究室に入ってグループで研究を進めることが多いと思います。社会人になっても一人でプロジェクトを立ち上げて一人で完結させることはない。今回リーダーとして議論の円滑化を進めたということは自分にとって進歩だと思いますし、今後活かしていきたいです。

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